今年、劇場で見た映画は今現在で84本。
昨年までに比べ少し少なめ。
それについては意識して減らしているからというのもある。
あふれる映画、10年で2倍に
今年始めに読んだ記事からのブログ。
つまり上映される映画が多すぎて、すでに好きだからと
いうだけで、見きれる本数ではないのです。
デジタル技術の発達とともに、制作される本数が増え
さらに見る側のニーズも細分化され、古きよき映画といった
共通体験だったり、共通言語としての映画ではすでにない。
ならばファンとしての見方も変わらざるをえなくなり、
というか物理的にも無理ということなので、見る前にじっくり
考えてから上映作品を選ぶようになった。
一昔前ならば、ある程度年季の入った映画好きならば
「匂い」でだいたい分かりました。
これはよい作品に違いない。
見逃すことはできないな。
こんな感じでセレクトしてました。
しかし、オッ!と思っても、評判が素晴らしい!と感じても
そこからしばらく寝かせておいてから判断する。
このような選択方法に、じょじょに変えてきている。
来年以降は、もっともっと絞ろうかなと考えてます。
そしてその分を、もっと読書に充てていこうと。
その中でも今年見た印象的な作品をつらつらと。
こればかりはお約束。
自由が丘で
韓国のホンサンスの映画。
思いを寄せる女性を追って、ソウルにやってきた
日本人青年のモリ(加瀬亮)。そのモリくんが彼女を探して
ソウルの町を行ったりきたり。毎晩飲んだくれて、カフェの
店主といい仲になりそうになったり。
ああ、幸せってこんな感じなのかもと思わせてくれる。
成就してもしなくても、きっと不幸ではない。
加藤くんて永遠の子供たちで、チャーミングな役者さんだなと
思ったのですが、この映画での素直な演技もとってもいい。
マジック・イン・ムーンライト
コンスタントに映画を作ってくれるウディ・アレン。
この映画も見る人を幸せにしてくれるでしょう。
皮肉な天才マジシャンと天真爛漫な占い師と
いった男女の組み合わせが、ヒットだと思います。
主演女優のエマ・ストーン、バードマンのジャンキー娘とは
思えない、かわいらしさ。そりゃオトコは皆惚れるわ。
最近歳食ったせいか、前作のようなブルージャスミンのような
皮肉や毒の効いたコメディより、素直な作品に惹かれる。
その気分に見事に当たった。
セッション
この怪作に触れないわけにはいかないでしょう。セッション。
先の読めない展開と、J・K・シモンズの鬼気迫る演技。
そして主演なんだけど霞がちなマイルズ・テラーのドラムの
迫力は、最初代役がやってるのかと思わせる。
人間の情念の奥深さと、芸術に魂を奪われた人たちの
織り成すドラマは、見逃すことはできないでしょう。
イマジン
盲目の男女の恋愛を描いた、ポルトガル映画。
この映画が素晴らしいのは、目の見えない人が感じるで
あろう感覚を映像で切り取ったことです。
この映画で始めて盲目の人が感じる、不安や喜び
肉体的感覚や世界観が、目明きとして始めて体感させて
もらった気がします。
目が見えている人が、すべて見えているわけではない。
逆に目が見えないからこそ、見ている世界が厳然とあるのです。
ピクニック
メチャ古い映画なのですが、フランスの巨匠(中の巨匠)
ジャン・ルノワールのピクニックも素晴らしい映画でした。
デジタルリマスターにより復元され、こういったときは
素直に、デジタル革命バンザーイ!と思う。
内容はコピーのとおり、祝福を受けた奇跡の映画。
これに尽きる。
「出会いと別れ。喜びと悲しみ。調和と崩壊。
人生に起こるドラマのすべてが凝縮された40分」これですね。
これを見ないということは、人生の喜びを放棄しているに等しい。
なんちゃって。
野火
塚本晋也監督の新作。
よく撮ったよなというのが正直な感想です。
評価や好悪が分かれる作品には違いないですが、
当たり障りない作品では塚本作品ではない。
カルトなテイストも残しつつ、戦争の悲惨さ、それも
飢えからくる人間性の喪失という点を描ききった
ところが見所。
メニルモンタン
2つの秋と3つの冬
しばらく前に見たフランス映画。
おお、ヌーベルバーグっぽい、トリフォーっぽい、
昔のフランス映画にはこんな感じの映画多かったぞ。
主人公のアルマン(ヴァンサン・マケーニュ)、アメリ(モード・ウィラー)が
ある事件をきっかけに恋仲になるのですが、そこは
イマイチパッとしないもの同士。
このパッとしない大人のパッとしない恋模様。
友人のなんだかなぁ感とともに、これが映画の見所です。
大事件なんかなくても映画は成立する。
いや大事件ではないから、人はそれを身につまされた
ものとして感じることができるのです。
ヴァンサン・マケーニョ、この頭のはげたさえない容貌の
オトコが、フランス映画界でもっとも「熱い」オトコというのがいい。
なかなかあんなふんに、味のあるはげかたはできません。
他にもいっぱいあるのですが、最初に書いたように
じょじょに少数精鋭に変更していくので、今年はこれでおしまい。
あと今年最後に アンジェリカの微笑み を見てきます。
今年106歳で亡くなった、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の作品。
これを見ないとね、年は越せません。
それでは、サリュー。よいお年を。
昨年までに比べ少し少なめ。
それについては意識して減らしているからというのもある。
あふれる映画、10年で2倍に
今年始めに読んだ記事からのブログ。
つまり上映される映画が多すぎて、すでに好きだからと
いうだけで、見きれる本数ではないのです。
デジタル技術の発達とともに、制作される本数が増え
さらに見る側のニーズも細分化され、古きよき映画といった
共通体験だったり、共通言語としての映画ではすでにない。
ならばファンとしての見方も変わらざるをえなくなり、
というか物理的にも無理ということなので、見る前にじっくり
考えてから上映作品を選ぶようになった。
一昔前ならば、ある程度年季の入った映画好きならば
「匂い」でだいたい分かりました。
これはよい作品に違いない。
見逃すことはできないな。
こんな感じでセレクトしてました。
しかし、オッ!と思っても、評判が素晴らしい!と感じても
そこからしばらく寝かせておいてから判断する。
このような選択方法に、じょじょに変えてきている。
来年以降は、もっともっと絞ろうかなと考えてます。
そしてその分を、もっと読書に充てていこうと。
その中でも今年見た印象的な作品をつらつらと。
こればかりはお約束。
自由が丘で
韓国のホンサンスの映画。
思いを寄せる女性を追って、ソウルにやってきた
日本人青年のモリ(加瀬亮)。そのモリくんが彼女を探して
ソウルの町を行ったりきたり。毎晩飲んだくれて、カフェの
店主といい仲になりそうになったり。
ああ、幸せってこんな感じなのかもと思わせてくれる。
成就してもしなくても、きっと不幸ではない。
加藤くんて永遠の子供たちで、チャーミングな役者さんだなと
思ったのですが、この映画での素直な演技もとってもいい。
マジック・イン・ムーンライト
コンスタントに映画を作ってくれるウディ・アレン。
この映画も見る人を幸せにしてくれるでしょう。
皮肉な天才マジシャンと天真爛漫な占い師と
いった男女の組み合わせが、ヒットだと思います。
主演女優のエマ・ストーン、バードマンのジャンキー娘とは
思えない、かわいらしさ。そりゃオトコは皆惚れるわ。
最近歳食ったせいか、前作のようなブルージャスミンのような
皮肉や毒の効いたコメディより、素直な作品に惹かれる。
その気分に見事に当たった。
セッション
この怪作に触れないわけにはいかないでしょう。セッション。
先の読めない展開と、J・K・シモンズの鬼気迫る演技。
そして主演なんだけど霞がちなマイルズ・テラーのドラムの
迫力は、最初代役がやってるのかと思わせる。
人間の情念の奥深さと、芸術に魂を奪われた人たちの
織り成すドラマは、見逃すことはできないでしょう。
イマジン
盲目の男女の恋愛を描いた、ポルトガル映画。
この映画が素晴らしいのは、目の見えない人が感じるで
あろう感覚を映像で切り取ったことです。
この映画で始めて盲目の人が感じる、不安や喜び
肉体的感覚や世界観が、目明きとして始めて体感させて
もらった気がします。
目が見えている人が、すべて見えているわけではない。
逆に目が見えないからこそ、見ている世界が厳然とあるのです。
ピクニック
メチャ古い映画なのですが、フランスの巨匠(中の巨匠)
ジャン・ルノワールのピクニックも素晴らしい映画でした。
デジタルリマスターにより復元され、こういったときは
素直に、デジタル革命バンザーイ!と思う。
内容はコピーのとおり、祝福を受けた奇跡の映画。
これに尽きる。
「出会いと別れ。喜びと悲しみ。調和と崩壊。
人生に起こるドラマのすべてが凝縮された40分」これですね。
これを見ないということは、人生の喜びを放棄しているに等しい。
なんちゃって。
野火
塚本晋也監督の新作。
よく撮ったよなというのが正直な感想です。
評価や好悪が分かれる作品には違いないですが、
当たり障りない作品では塚本作品ではない。
カルトなテイストも残しつつ、戦争の悲惨さ、それも
飢えからくる人間性の喪失という点を描ききった
ところが見所。
メニルモンタン
2つの秋と3つの冬
しばらく前に見たフランス映画。
おお、ヌーベルバーグっぽい、トリフォーっぽい、
昔のフランス映画にはこんな感じの映画多かったぞ。
主人公のアルマン(ヴァンサン・マケーニュ)、アメリ(モード・ウィラー)が
ある事件をきっかけに恋仲になるのですが、そこは
イマイチパッとしないもの同士。
このパッとしない大人のパッとしない恋模様。
友人のなんだかなぁ感とともに、これが映画の見所です。
大事件なんかなくても映画は成立する。
いや大事件ではないから、人はそれを身につまされた
ものとして感じることができるのです。
ヴァンサン・マケーニョ、この頭のはげたさえない容貌の
オトコが、フランス映画界でもっとも「熱い」オトコというのがいい。
なかなかあんなふんに、味のあるはげかたはできません。
他にもいっぱいあるのですが、最初に書いたように
じょじょに少数精鋭に変更していくので、今年はこれでおしまい。
あと今年最後に アンジェリカの微笑み を見てきます。
今年106歳で亡くなった、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の作品。
これを見ないとね、年は越せません。
それでは、サリュー。よいお年を。